日本人初のニールセン・ノーマングループの資格を取得しました
7月中旬にオーストラリアのシドニーで開催されたニールセン・ノーマングループのワークショップに参加し、UXの資格を取得しました。そのUXの資格の過程で、考えたことなどシェアしたいと思います。
まず、ニールセン・ノーマングループは、アメリカのシリコンバレーエリアにある、UI&UXコンサルティング事務所です。ノーマンはアップルのUI設計した1人として知られています。ニールセンの名前を聞いたことがある人は多いと思いますが、UX界隈ではトラディショナルで老舗のコンサルティングファームです。(他にもAdaptive PathやCooperなどあります)
資格=ビジネスだとおもってました
僕自身はあまり資格に興味がなく、仕方ないのですがある一部は「資格=ビジネス」と考えています。なので、今回の資格も勉強の結果の副産物的な位置づけな方向です。暦としたしっかりとした資格もありますし、世の中の大半はそうだと思います。
なぜ資格を取得したのか?
UX&UIを書籍で読んだり、案件で経験して勉強したけど、本当にUI&UXの基礎がわからなかった、というのが理由です。
大学で1学期だけ認知心理学は履修しただけで、UXやらインタラクションデザインやらの本格的な勉強はしていません。かといって大学に戻って「インタラクションデザイン」を一から勉強するのは、日常生活があるので難しいと考えていました。
そこで、短期間でUXの基礎を確実に勉強できないのかなと?それからUXのカリキュラムを提供しているワークショップ・大学をネットで必死で探したところ、ニールセン・ノーマンが短期でワークショップを1週間で提供していると知り、「これはいい!」と。また、資格の為の復習テストもあると。
復習テストがあれば資料の見直しもするだろうし、身につくだろうと思って資格の取得のテストを受けることにしました。
大満足のワークショップ
ワークショップは参加して大満足でした。
まともにUXについて基礎教育をうけていませんので、基本を学べたことは目からウロコでした。HCDとインタラクションデザインの違いなど。「あー知らなかった」と感じたことが多々ありました。
あと、自分のスキルの足りない部分がよくわかりました。やはり、自分で選んで興味があることを勉強するのは、好きな食べ物を食べているのと同じようで、知識や思考回路に偏りが起きてたんだなと。
なぜなら、UIを設計したり、UXを設計したりする上では、ユーザビリティテストが一番に重要だと考えており、理論はそんなに勉強せずにいました。これが良くなかったことがわかりました。
肝心の費用は、どのくらい?
費用は全部で、70万円也
- 授業料が40万
- 飛行機が10万
- 宿泊が10万
- その他もろもろ10万
多分、食事とか雑費をいれると70万ぐらいだと思います。通常はワークショップを1日10万ぐらいなので、8万円は普通ですね。僕が開催しているWDEの5万円はワークショップとしては安い方ですね。
参加者は200名程度。開催国のオーストラリアのみならずインドネシアなどからも参加者がいました。日本人はぼく1人。久しぶりに英語だけの環境だったので、英語の頭を呼び起こすには凄く良かったと考えています。
参加者の層は、若い人から50代ぐらいまでの、管理職も結構多かったです。僕のチームにはオーストラリア政府の人もいました。
資格を取るのは大変?
はっきり言って大変です。予想以上にテストは難しい。まず、講座は日本語ではありませんし、講演も資料もテストも全部英語。
出題された問題は、英語のキーワードがワークショップの時と微妙に言い回しが変えてあったりと激ムズ。
資格を取るためのテストは60分で30問。途中で休憩してもOKなので、調べて受けれることもできます。なので楽勝のような気がします。しかし1問1答のような、安直な問題は殆どありません。しっかりと考えないと解けません。
特に5個受けたうちの4個目のテストが超難関。一つのテストへ3回チャレンジできますが、最初の1回目で合格ラインの80%に届かず76%。先生は優しかったのにテストは優しくない。心のなかでは、「騙されたー、あいつの難しいじゃん」と思いました。
それから1週間程度、缶詰めで必死で勉強です。そして2回目を86%で合格。これだけ勉強したのにギリギリかと落胆しましたが、スライドを何度も見なおしたことは、自分にとって大変復習になり納得しています。
テストで勉強するきっかけになったのは、非常に良かったです。当初の予定どおりではあります。
日本人初
UXCを取得してからニールセンの取得者のリストをみていて分かったのですが。日本人で取得した人は他にいませんでした。
日本人では僕が初です。だからといって何もないんだけど。
アジアではインドネシアとかベトナムの方はいましたので、日本は極端にすくないんだなと。たぶん、英語が壁かなと考えています。これは一朝一夕に解決することではないので、将来もすぐにはUXCを取得する人はでてこないかもしれないです。
さらに勉強をしたい
今回のワークショップで自分が分からない点や足りない点などが分かったので、そのあたりを勉強したいという意欲がわいてきています。また、やるならニールセンの提供するカリキュラムを全部を履修したいと考えています。
近い将来、米国出張の際に、ラスベガスで開催されるワークショップに参加予定をしています。リサーチ関連と基本的なインタラクションのワークショップを中心に6講座ほど参加予定です。
そのあと、シンガポールでミャンマーのオフィスに行く途中で4講座を受講する予定にしています。
そして、UXCの他にMaster(UXCM)の資格にチャレンジします。Masterは1390人がUXCを取得していますが、UXCMは世界にわずか9人しかいません。UXC取得者の0.5%という厳しい世界ではありますが少しずつ頑張ります。
スキルは向上したか
向上したかわかりませんが、確実に考え方は変わりました。UI&UXの基本理論を学ぶことで、ウェブサイト上でなぜ人がその行動をするのかを論理的に説明できるようになりました。
なぜ、クライアントはビジュアルデザインばかり気にすることもわかりました。そして、ユーザーはなぜ気にしないかも。
ワークショップで、「もしプロならば、しっかりと説明できなければならない」と講師の方がおっしゃっていましたが、納得です。テストをすればわかることは沢山ありますが、プロのUXの肩書きを掲げるのであれば、仮説をもっと理論的に組み立てられなければなりません。ただデザインをしてはいけないのです。
これから、僕が担当するUX&UIの講座にも取り入れて、学んだことを講座にフィードバックしていきますのでUX&UI講座に参加してみてください。